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2021年5月3日月曜日

コーヒー3杯と映画4本

 最近、散歩をすれば栗の花がくさい。GWになりましたが、どこにも行けないし、何もすることが無いので部屋にこもって映画を観たり本を読んだりしています。何もすることが無いというのは厳密に言うと違うんですけどね。勉強しないといけないし。

どうも映画研究会部長の柿原です。宜しくお願いします。なぜかまた暫くの間、部長をすることになりました。できれば誰かに代って欲しいです。誰か他に年下との付き合い方が上手くて、それがストレスにならない人間に。映画に詳しくなくていいから真面目な人間に。

 それはともかく、今年も何人か新入生が入部したらしいです。今のところ全体として17人ほどですが、これまでの歴史で一番多いらしいです。それでいて、毎回の鑑賞会に全員が集まるようなことがあれば優秀なのですが、それは多分叶わないと思います。

 今年の新入生が一体何を期待して入部したのか知らないが、結局のところサークル活動の本質とは僕が思うに人間関係でしかない。その一種の道具として映画がそこにあるだけだ。映画をただ観るだけなら一人の部屋で観ればいいし、ただ良い映画を撮りたいならどこかの芸大や専門学校に行って勉強するべきだ。それに、映画好きな友達が欲しいだけなら平日の映画館に行って一人で来てる奴に話しかければいい。それが出来ないからサークルに入るんだろう。地獄とは他人のことだとサルトルは言っている。人間関係なんて煩わしいものだが、ときには孤独を忘れさせてくれる。もしかしたら、一生の友人関係ができるかも知れない。行動をしない限りはなにも可能性は広がらない。今年の映画研究会に入部を決意した新入生が自分の行動を後悔する日が来ないことを願う。この先の大学生活には不安があるかもしれない。不安とは自由だ。そうサルトルは言っている。

 

 今日の朝、最悪な夢から覚めて、長いシャワーを浴びて、最悪な味の煙草を吸った。外は雨が降っていて、窓を開けて吐いた煙が水滴の間を縫って空気に溶けていった。悪夢を引きずりながらコーヒーを飲んでも気分が上がらなかったので、今日は一日中映画を観ることにした。

昨日も4本ほど映画を観たが、今日はどれくらい観れるのか。リストに入れたままになっている映画を消費しなければならない。部屋の隅に積んである本なら旅行に持って行けば少しは片付くが、映画はこういう精神状態のときに観ると良い。二日酔いの朝か、失恋した夜か。または、それ以外の最低な休日。

無意識のうちに「夢やぶれて」を口ずさんでいたので、まずは「レ・ミゼラブル」を観ることにした。誰でも一度は耳にしたことがあるだろう。知らないなら「あゝ無情」という題名で知っているかも知れない。どちらも知らないという奴は自らの無知を恥じるべきだ。かの有名なフランス人作家、ヴィクトルユーゴ―の同名著書が原作である。僕は映画の感想を書くのが苦手なのであまり内容には触れないが、この映画は観る度に泣いている。

泣くとセロトニンが分泌されるらしい。「レ・ミゼラブル」を観たおかげで、少し気分が落ち着いた。次は何を観ようかとリストを眺める。なんとなく軽い気持ちで松本清張が原作を書いた「砂の器」を観ようと決めた。この前観た「鬼畜」は面白かったし。途中で「あ、御前様の人だ。あ、寅さんじゃない渥美清、久しぶりにみたなー」と、思いながら見続ける。日本の映画で、それも刑事ものの映画を観ることはなかなかなかったのだけれど、意外と面白かった。ただ二時間半は少し長く感じた。

 この前、鳥取にしては珍しい風の無い日。先輩と意味もなく夜中の賀露海岸へ行って少し映画の話をした。ロマン・ポランスキー監督の映画。それを思い出した僕は、次に「ローズマリーの赤ちゃん」を再生した。ポランスキーが初めてアメリカで監督した映画だ。アイラ・レヴィンが原作を書いているホラー映画。悪魔教徒の話だというのは先輩から先立って聞いていたが、前半にあるミア・ファローが幻覚の世界に堕ちていくという描写がサイケデリックな映像で表現されていてすぐに心を掴まれた。妊婦のノイローゼなのか?悪魔教徒の陰謀なのか?最後まで分からないがとにかく胸糞悪い。最近観た映画の中で最高の映画だった。この映画も二時間以上あるし、1968年に公開された映画なのに、全くそれらを感じさせないほど面白い。この映画の公開後にロマン・ポランスキー監督が結婚したシャロン・テートが妊娠中、マンソンズファミリーに惨殺された話を知っていればまた面白いかもしれない。シャロン・テートに関しては2019年公開のクエンティン・タランティーノ監督の映画「ワンスアポンアタイムインハリウッド」を観れば少し分かると思う。

 せっかくだから、前から気になっていたポランスキー作品を観よう。別の知り合いに「毛皮のヴィーナス」を薦められていたんだ。「ローズマリーの赤ちゃん」みたいに女性が追い詰められていって精神を崩壊していく「反撥」という映画も流れで観たいと思ったけど、同じような映画を立て続けに観たらこっちが変になる。それに「毛皮のヴィーナス」はマゾヒズムの語源になったレオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホが原作を書いてるなんて魅力的だ。サディストの語源となったマルキ・ド・サドが原作を書いた「ソドムの市」も面白い映画だったし、性的倒錯者の作品に外れはない。という訳で、次の映画はフランスで制作された「毛皮のヴィーナス」。90分くらいの短い映画だし、2013年制作なので映像としてかなり見やすい。ここに詳細な感想を書くといかに自分自身が変態であるかということを露見させかねないのでやめておこう。一言でまとめるならば、これも最高の映画。深夜の暗い部屋で1人、鑑賞することをお薦めする。

 この映画で、ポランスキーの嫁さんでもあるエマニュエル・セニエの魅力に気付いたので「赤い航路」を次に観ることにした。その後はポランスキーの「袋小路」「反撥」。結局のところ僕はこのGW前半でポランスキー映画にハマってしまったのだ。気付いたら最低な目覚めを引き起こした夢のことなど忘れてしまっていた。

 

 今回はこのあたりで終わっておこう。今週読んだ小説の話をすればまた長くなってしまう。コンラートローレンツの本を読んで犬を飼いたくなったり、サルトルを読んでまた実存主義に傾倒していったりっていう話はまた今度話します。お疲れさまでした。